運行管理者の選任

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

貨物自動車運送事業法第18条では、一般貨物自動車運送事業者は、「運行管理者」を選任しなければならないとなっています。

第十八条 
一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定めるところにより、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。
2 前項の運行管理者の業務の範囲は、国土交通省令で定める。
3 一般貨物自動車運送事業者は、第一項の規定により運行管理者を選任したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。

また、貨物自動車運送事業輸送安全規則第21条では、運行管理者の業務が規定されています。
運行管理者は主に以下のようなことを行います。

  • 事業用自動車の運転者の乗務割の作成
  • 休憩・睡眠施設の保守管理
  • 運転者の指導監督
  • 点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示等

運行管理者は事業用自動車の安全運行を管理するスペシャリストといえます。

 

運行管理者の選任

近畿運輸局公示によれば、適正な運行管理体制として以下のように基準を設けており、その中の項目に「選任を義務付けられる員数の常勤の運行管理者の確保」があります。

運行管理体制
事業の適正な運営を確保するために、次の各号に掲げる管理体制を整えている
こと。
(1) 車両数及びその他の事業計画に応じた適切な員数の運転者を常に確保し得るものであること。
(2) 選任を義務づけられる員数の常勤の運行管理者及び整備管理者を確保する管理計画があること。
(3) 勤務割及び乗務割が平成13年8月20日国土交通省告示第1365号に適合するものであること。
(4) 運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
(5) 車庫が営業所に併設できない場合には、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立している
こと。
(6) 事故防止ついての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則(昭和26年12月20日運輸省令第104号)に基づく報告の体制について整備されていること。
(7) 積載危険物等の運送を行う者にあっては、消防法(昭和23年法律第186号)等関係法令に定める取扱い資格者が確保されるものであること。

自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除きます。)は、一定の数以上の事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を選任しなければなりません。
選任を義務付けられている員数というのは、貨物自動車運送事業輸送安全規則第18条に定められています。

第十八条 一般貨物自動車運送事業者等は、事業用自動車(被けん引自動車を除く。以下この項において同じ。)の運行を管理する営業所ごとに、当該営業所が運行を管理する事業用自動車の数を三十で除して得た数(その数に一未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に一を加算して得た数以上の運行管理者を選任しなければならない。ただし、五両未満の事業用自動車の運行を管理する営業所であって、地方運輸局長が当該事業用自動車の種別、地理的条件その他の事情を勘案して当該事業用自動車の運行の安全の確保に支障を生ずるおそれがないと認めるものについては、この限りでない。

 

2 一の営業所において複数の運行管理者を選任する一般貨物自動車運送事業者等は、それらの業務を統括する運行管理者(以下「統括運行管理者」という。)を選任しなければならない。

 

以下省略

つまり、事業用車両が29台までは1人、30〜59台の時は2人、60〜89台までは3人といった具合に車両の数が30台を境にして運行管理者の必要人数が決まります。

 

運行管理者になるには

運行管理者になるには二通りの方法があります。以下国土交通省HPの掲載記事を一部抜粋しました。

  1. 試験に合格すること
  2. 実務経験等の要件を揃える(最低5年かかります)

の二つです。

 

1.運行管理者試験に合格する。
[受験資格]
 次のいずれかに該当する必要があります。
 イ.事業用自動車(事業の種別は問いません。)の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
 ロ.実務の経験に代わる講習を修了した者。
 実務の経験に代わる講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習が認定されています。
[試験の種類]
 旅客、貨物の2種類があります。
[試験科目]
 道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、労働基準法などの法令等並びに運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力について出題されます。
[問合せ先]
 試験に関する問い合わせは、運行管理者試験センター
 基礎講習に関する問い合わせは、自動車事故対策機構

 

2.事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務の経験その他の要件を備える。
 取得しようとする運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件があります。運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。


 このエントリーをはてなブックマークに追加 
トップへ戻る